降級制度が廃止されて3年。
前回のエントリーからも早2年。
既存の降級馬の大半がJRAの戦場から去り、頭数分布が大体固まってきた頃合いに加え、制度的にも変化した部分もあるので、再びまとめておきましょう。
というのが今回の話。
何度も何度も何度も何度も繰り返し書いているが、降級廃止は上級条件の充実ではなく、下級条件の改善が目的である。
多すぎる競走馬と馬房、足りないレース数による歪みをどこで消化するのか、という問題である。
この前提が理解できない方は、以前のエントリーをどうぞ。
あと、2022年の数字は夏開催終了時点である事に留意してください。
その1.降級制度を廃止する理由とその疑問
その2.降級廃止が招く混乱の可能性
その3.登録枠の拡大を再評価しよう
その4.私的3歳ダート路線整備論
その5.降級廃止にも対応できる優先出走順位改革案
その6. JRAのスリーアウト法導入についての一考察
その7.将来トレセンの25%が廃業する事になる(かもしれない)という話
その8.新馬戦の除外ラッシュが長期化するかもね
その9.降級廃止の効果を検証しよう
1勝クラスの競走数削減を進めつつも改善状態をキープしている
既存の降級馬が去りクラスの所属頭数は更に減少。
併せて競走数の削減も進めているが、状況悪化を招く規模の削減は行っていない。
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
出走頭数 | 3344 | 3426 | 3496 | 3250 | 3022 | 2988 | —- |
競走数 | 878 | 866 | 868 | 825 | 791 | 765 | 778 |
交流競走も含めつつ競走数調整に多少苦慮している部分を感じるが、非権利馬の状況は2年前の状況を概ね維持している。
権利馬の4週内出走率も減少しているが「多少の無理を通して権利を使わなくても一定のローテ構築ができるようになった」と前向きに考える事もできるし、「馬の増加で権利馬も回さないといけないほど馬房回転がピーキー」という面もあるかもしれない。
権利の使用率が陣営毎に分かれており、戦略の幅が広がっているのも間違いのない所だろう。
って事で、総じて古馬1勝クラスは改善された状態を保っている。
2勝クラスは権利枠が広がり格差も広がった
2年前は頭数の増加に合わせて競走数も増やして最低限の対応を果たし、少々悪化したものの大混乱な状況は避けた2勝クラス。
そのまま穏やかな競走数調整で進めると思っていたが、2020年に1ヶ月優先出走権利が前走3着内から5着内に拡大された。
それに伴い、非権利馬の状況が悪化している。
特に短距離路線は、なかなかに厳しい状況だがこの改正が適切であったかはわからない。
現状の数字を見ていると、年10~20走は編成を増やさないと不満が大きくなりそうな気もするが、今年の施行数は昨年比10走減。
大丈夫なのかしら。
コメント
いろいろと素人考えをこねくり回してみたりしたんですが、結局のところ法律改正して一日の競走数を増やすか開催日数を増やすかしかないんじゃないですかね
大金持ちの馬主さんとかにロビー運動してもらったらなんとかなるかも(馬主のメリットは考えないものとする、あと馬場の管理保守業者がめっちゃ大変になりそうだが)
もしくはまさかのフルゲート頭数拡大とか(競走馬及び騎手の安全性は考えないものとする)
コメントありがとうございます。
結局はそういう事なんですわ。
どれぐらい必要かは以前のエントリーに任せますが、フルゲート拡大だけではおっつかないでしょうなぁ。
馬主だけでなく、競馬界全体(ファン含む)で問題意識を共有しなければいけなかったと思うんですが、どうしてこうなったんですかねぇ。
西山オーナーの競走数を増やして欲しいという要望が却下された過去の話が競馬界として軽く見られてますわな。
2005年辺りの段階で競争需給の根本原因は明らかな数字として出てるんですが、売上低下の流れで見過ごされたんでしょう。
経費削減しなければいけないのにレース増やすことの意味が分からんと。
まぁ、変革の過程で同じテーブルに上げたのが失敗だった。
そんな所なんですかね。