2021年に感じた制裁の話

惰性で続けている面もありますが、やはり制裁事象は見ていると面白い。
昨年からその兆候は見られたが、今年は例年と違った傾向がはっきり見えた部分もあるので、ちょろっとまとめてみました。
年明け以降に調べに行く予定だが、裁決委員も何人か入れ替わってそう。

審議が減った

降着基準がカテゴリー1となってから物議を呼ぶことの多い審議案件。
昨年は急に審議が増え、接戦時に事象が重なればランプ点灯で9件の審議と4件の降着が発生したが、今年は一転して急減。
審議は1月9月にそれぞれ1件のみで降着は0件となった。

原因は、騎手の意識が高くなったからなんてことは一切なくという面もあるかもしれないが、裁決側が審議ランプを押すハードルが高くなった印象が強い。
審議・降着の基準は着差と事象前後の脚色でみてれば基準が見えてくるが、2021年に関しては「それ審議じゃないんすか?」な事象が何度か見られた。
特に弥富特別横手特別の事象前後の脚色差と不利の規模を考えれば、降着かどうかは置いといて、昨年ならほぼ確実に審議事象である。

昨年はこれで審議(7月19日:阪神8R

今年はスルー(弥富特別

これもスルー(横手特別

ただ、あれは取ってあれは取らない、という事ではなく一貫して取らないので単年で見れば釣り合いは取れている。
これが以降も続くかは、ウォッチポイントの一つとなる。

騎乗停止も減った

集計を取っている2015年以降で最も騎乗停止件数が少ない年となった。

2016年に近い数字だが、この時は全て競走中の斜行妨害事象による騎乗停止だったのに対し、2021年は油断騎乗(2件)減量失敗(1件)岩田康誠のアレ(1件)と非妨害事象を差し引いた事象は18件となる。
この理由としては、本当に騎手の意識が高かった事を第一の要因として挙げるが、裁決側も完全な騎手要因でない際の考慮が後半になるほど大きくなっていた面を多少感じる部分はある。

2019年福島牝馬S(騎乗停止4日間)

2021年9月5日:小倉2R(過怠金10万)
被害馬の進路取りも要因の一つではあるが・・・

これは1年を通してと言うより、徐々に徐々に押し下げられた感があり、最後の方は落馬しなければOK的な雰囲気も無きにしもあらず。
非落馬事象による走行妨害の騎乗停止は8月22日まで遡る事もこの印象を強くしている。
あくまでイメージの話でもあるが。

内ラチ1頭分ルールが緩くなった

ラチ沿い1頭分を通って追い抜いた場合の事象に対して課されていた「内ラチ1頭分ルール
2019年の半ばまで1ヶ月に1回ぐらいのペースで起きていたが、それ以降から急減。
今年この単語を短評で用いたのは、かなり強引にラチ沿いを割った札幌道新スポーツ賞だけであった。
なんで減ったのかといえば、裁決がラチ沿い追い抜きに対して制裁を飛ばさなくなったから。

以前はこれで1万円

以前は戒告

今年はこれで制裁なし(2021年6月26日:東京1R)

参考レースは追い抜き相手が追わずにセーフティに乗っており、2年前なら戒告となってもおかしくない形だがスルー。
きっちり絞ったスペースでなければ、ラチ沿いを通っての軽く影響を与えても制裁は課されなくなった印象である。

ムチの裁量上限は10万円で確定

2019年から突如上限突破されたムチ制裁。
過去2年は10万を課されると年内はおとなしくなっており、上限が不明であったが、漢江田照男が年内7回のムチ制裁で2度目の過怠金10万円制裁を獲得。
これにて一般ファンも上限が10万円であると知ることができた。
多少の制裁は踏み越えて、ムチの制裁点でトリプルスコアの圧勝を決めた漢っぷりを讃えたい。


コメント

  1. 名無し より:

    今年一年制裁について毎週こちらで確認させていただきました。JRAの公式発表だけではどうもわかりづらい、わからないところはこちらで見ればなるほど、と思うことが多く、もう最近は公式じゃなくてこちらしか見ないくらいになってしまいました。え、あれ甘いんじゃないの?と私が思ったことでも、いやあれ普通、逆にあれ厳しすぎない?と思ったことは実はもっと厳しく取られても良かったはずなど、新しい視点をもらうことが出来、大変勉強になっています。
    毎週これだけきちんと精査していただいた情報をいただけて感謝です。ありがとうございます。
    今年一年間お疲れさまでした。来年ももし気が向くようでしたら是非続けていただけますと幸いです。
    どうぞ良いお年をお迎えください。

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      まぁ、適当にやっておりますんで、こういう見方もある程度でよろしくお願いいたしやす。

  2. 名無し より:

    今年は特別模範騎手賞いるのかな?と思いネット検索してたら辿り着きました。面白いサイトですね。偶に見に来ます。

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      特別模範のハードルは実に高し。
      時々思い出したときに見ていただければ有り難し。
      見てる奸悪を時間を空けると「前と書いてること違うやんけ」となる可能性もあるけどwww

  3. 名無し より:

    江田照男がムチ制裁だけで再教育行きになる男気溢れる制裁点でめっちゃ笑いましたw
    今後厳格化されるであろうルールの中でルールに従ってムチを減らすか、勝負どころでは腹くくって制裁覚悟のムチ連打に走るかという選択を迫られそうですね
    でもあんまり厳しくし過ぎると将来的に重賞とかで「こんなきつきつルール守ってたら競馬できんわ!」みたいな感じで1レース5人近くムチ連打で制裁食らうみたいなこともありそうですね……

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      ムチの制裁は厳しいですよねぇ。
      国際協定に合わせるのと、日本人が海外でも乗れるようにする意識付けぐらいの制裁ですけど、制裁は制裁ですからねぇ。
      欧豪で開き直ると1ヶ月停止とか普通に課せられる可能性があるぐらいの重過失扱いになるんで無視もできないんですけど、現場は大変ですよね。
      まぁ、結局は意識と落とし所の問題なんでしょうが。