鞭の使用による制裁

2014年からムチの過使用が制裁対象に加わりました。
JRA発表の制裁内容が

最後の直線コースでの御法(鞭の使用)について

と記載されているものは、鞭の使用方法の違反による制裁となります。
ムチ使用については国際競馬統括機関のガイドラインを元に以下のルールが設定されており、これに該当するようなムチの使用を行うと制裁対象となります。

・馬が怪我をするほどの強い鞭の使用。
・肩より上方に腕を上げての使用。
・反応のない馬に対し、必要以上の使用。
・明らかに着順の大勢が決した後に、必要以上の使用。
・入線後の使用。
・ひばら(脇腹)への使用。
・過度に頻発しての使用。
・頭部若しくはその付近に対しての使用。
・鞍より前方に逆鞭(フォアハンド)での使用。

というのが建前となりますが、制裁対象となるのはほぼ「過度に頻発しての使用」となっています。

過度使用の判断となる基準は国によって様々ですが、JRAでは「1レース内で連続5回を超える使用(2023年より)」となっています。
連続使用の定義は2完歩以内となっており、2完歩以上の間隔を開ければ使用回数はリセットされます。
逆に言えば、完歩を開ければ使用回数に制限はなく、2016年小倉記念の和田竜二(クランモンタナ)はレースを通じて30発近く使用しましたが、間隔を開けていたので制裁とはなりませんでした。

(これはOK)

また、2017年辺りから鞍より前方に逆鞭(フォアハンド)での使用(肩ムチ等)も制裁対象として取られるようになっています。

(これは制裁)

制裁回数の内訳はこんな感じ。
ムチ制裁内訳(2020年)

制裁対象 制裁数
連続使用 205回
フォアハンドの肩ムチ 8回
肩より上方に腕を上げての使用? 1回


過怠金は違反回数と比例しており、制裁を受ける度に
戒告→1万円→3万円→5万円→7万円→10万円(2019年までは上限5万円)
と加算されていき、7回目以降の違反は一律10万円の制裁金となります。
この回数は1年毎の集計となっており、1月1日にリセットされます。

また、制裁内容は一律でムチを20発以上乱れ打ちしても裁量が重くなることはありません。
そのため、制裁上等で開き直って乱打するケースも見受けられます。

開き直ってる例


ムチ制裁についてあれこれ書いたやつ
オーストラリアのムチ制裁事情
海外のムチによる騎乗停止制裁に関して