不服申立てが好きだ

不服申立てが好きだ

中谷騎手の後、井上騎手が続いたことで定期的に出てくる事がほぼ確実になった不服申立て制度。

ざっと概要を説明しておくと、
採決に不満のある騎手又は調教師がJRAがに対して10万円を叩きつけて裁定委員会を招集。
申立て者が不服理由と思いの丈を述べた後、採決が淡々と裁定理由を説明し、最後に岡部がJRAにお墨付きを与えるのが不服申立て。


まぁ、委員会は非公開なので実際にどのような形で行われているかはわからないが、そんなに突飛なことはしていないだろう。
ちなみに、非公開なのを問題視する人もいるが、本気で勝ちに行くならば、他の騎手や陣営を露骨に批判する事にならざるを得ないので、申立者の立場を考えれば非公開の方が互いに都合がよろしいのではないかと思う。

これまで裁定が覆されたことはなく「結局は出来試合だろ?」という声もよく聞くが、個人的には「戦う側も少しは考えろよ」という印象も拭えない。
こういった官僚機構相手の対決は一種の裁判である。
裁判で「不満があります!」「僕だけの責任ではありません!」と主旨だけで覆るならば世に弁護士は必要ない。
戦う側は論点を絞り、「棄却」以外の答えを要求する形にするのが理想だ
「採択・棄却」は相手のリングである。
勝ちにこだわるなら自分のリングに引きずり込まなければならない。
つまり、木村政彦は力道山のリングに上った時点で負けなのである。
グレート小鹿の教えは偉大である。


例えば、中谷のケースならば、横から接触する類似事例は多数あるのだから、それらと比較して、裁量差の決め手となった部分を回答として要求すればいい。中谷は競馬labのコラムで

騎手だって表立って言わないだけで、違う騎手がやった事象がセーフで、自分がやったらアウトなのは何故なのか分からない部分が多々あるのが現状です。

だから何故なのかを知りたかった、でも分からなかった(T T)

という事を書いてるが、それならば具体的な事例を突き出して回答を要求しなければならない。
最低でも「あの日のあのレースはこういった扶助でこういった動きでこういった規模の影響を与えたけど、今回の俺はこういった扶助でこういった動きでこういった影響で、比較すると大体同じように見えるけど違う裁量になったのは何で?」ぐらいの要求は用意しないとだめだろう。
点での戦いではなく線で戦う。官僚機構相手にはこれが基本だ。


とはいうものの、不服申立てから委員会の開催までは1日ほどしか時間がない。
これで情報を集め資料化して、それを武器として使うための作戦を立てる作業を騎手が行うには色々と負担がかかる。
今後、騎手のエージェントはこういった面でもサポートする役目を担う必要性が出てくるだろう。
もしくは、こういった申立てのための弁護士を事前に契約しておく。
そんな騎手が現れてもおかしくないかもしれない。