菱田裕二3つの騎乗停止を検証

菱田裕二騎手が18日阪神12Rで斜行、短期間に同様の不注意騎乗を繰り返したため、加重制裁で4月25日から5月10日まで実効6日間の騎乗停止となりました。

北村宏司騎手が立て続けに騎乗停止を受けましたが、今回のケースはどうでしょう?
再び、3つの騎乗内容を確認していきましょう。


2014年10月26日京都11R菊花賞
制裁内容:最後の直線コースで外側に斜行したことについて平成26年11月1日から平成26年11月9日まで騎乗停止(実効4日)

レース経過:
図1:直線入り口
20141026京都11_1
注・2枚の写真は注釈印の有無以外は同一のもの
赤角:菱田裕二@タガノグランパ(加害馬)
黄角:浜中俊@サトノアラジン(被害馬)
緑角:蛯名正義@サウンドオブアース

直線最内のスペースを突く菱田@タガノグランパ。
しかし、前を走る蛯名@サウンドオブアースが粘りこみを図るべく左ムチを入れてラチを頼りに行く。

図2:
20141026京都11_2
注・2枚の写真は注釈印の有無以外は同一のもの

サウンドオブアース(とマイネルフロスト)が内に入ってきた事で前のスペースを絞られてしまったタガノグランパ。
焦った菱田は外へ豪快に持ち出すが・・・

図3:
20141026京都11_3
注・2枚の写真は注釈印の有無以外は同一のもの
20141026京都11_4
別角度

急激な進路変更で浜中@サトノアラジンの進路をカット。
浜中の神がかり的な反応と読みで左に手綱を引いた事で事故は回避したもののひとつ間違えば落馬してもおかしくない事象

レース映像:

私見:とっさの反応での進路変更は騎手の本能ではあるが、そもそも最内から3頭分以上外へ急激に持ち出す進路変更がやり過ぎ。
さらに、外の進路確認不足も重大な騎手責任で文句なしの騎乗停止。


2015年1月18日中山11R京成杯
制裁内容:最後の直線コースで外側に斜行したことについて平成27年1月24日から平成27年 2月1日まで騎乗停止(実効6日)

レース経過:
図1:ゴール前150m辺り
20150118中山11_1
注・2枚の写真は注釈印の有無以外は同一のもの
赤角:菱田裕二@クラージュシチー(加害馬)
黄角:三浦皇成@コスモナインボール(被害馬)
緑角:江田照男@オトゴギイッポン

直線最内のスペースを突く菱田@クラージュシチー。
しかし、前を走る江田照@オトゴギイッポンが粘りこみを図るべく左ムチを入れてラチを頼りに行く。

図2:
20150118中山11_2
注・2枚の写真は注釈印の有無以外は同一のもの

オトゴギイッポンが内に入ってきた事で前のスペースを絞られてしまったクラージュシチー。
焦った菱田は外へ豪快に持ち出すが・・・

図3:
20150118中山11_3
注・2枚の写真は注釈印の有無以外は同一のもの
20150118中山11_4
別角度

強引な進路変更で三浦@コスモナインボールの進路をカット。
三浦が手綱を引いた事で事故は回避したもののひとつ間違えば落馬してもおかしくない事象

レース映像:

私見:とっさの反応での進路変更は騎手の本能ではあるが、外の進路確認不足は騎手の責任で文句なしの騎乗停止。
文章がほぼコピペで済んでいるように、前例と内容がほぼ同一。
以前の記事で北村宏司の不注意騎乗の内容が全然同様ではないと突っ込んだが、これは紛れもなく同一の内容で追加制裁も妥当。


2015年4月18日阪神12R
制裁内容:決勝線手前で外側に斜行したことについて平成27年4月25日から平成27年5月10日まで騎乗停止(実効6日)

レース経過:
図1:ゴール前
20150418阪神12_1
赤角:菱田裕二@アイムユアドリーム(加害馬)
黄角:三浦皇成@カネトシビバーチェ(被害馬)

ゴール前、先頭の菱田@アイムユアドリーム。
粘りこみを図るべく、外から猛追する武豊@カネトシビバーチェに体を併せに行く。

図2:2完歩後
20150418阪神12_2

菱田が寄せに行く形で2頭が接触。
しかし、接触後も菱田は右ムチを容赦なく入れさらに・・・

図3:さらに2完歩後(決勝線通過直前)
20150418阪神12_3

体を左に傾ける形でショルダータックル!
スゲー、欧州の競馬を見てるみたい。
でも、ここは日本なのよね。

レース映像:

私見:併走馬に寄せていく過程で接触するだけなら過怠金止まりだろうが、更に右ムチを入れるのは悪質。
また、肩をぶつける乗り方自体は日本でも時々見るが、これは寄ってきた馬を押し返す時に使うもので、自ら寄せた上で使ってはいけない。
前例と要因は異なるが、危険回避要素のない自分勝手な乗り方は共通で上乗せも致し方なし。
私なら2日+2日で実効4日とするが、実効6日でも文句はない。

ちなみに、制裁とは離れますが、ぶつけてから4完歩程度の事象で着順逆転を明言するとは、審判員の目は素晴らしいですね。
2013年のAJCCはもっと悪質で大きな不利が発生してましたけど、あれは残り200地点でしたから着順逆転はありえなかったんでしょうね。
さすが、JRAの裁定は世界基準ですね。


さて、菱田裕二騎手が今年受けた3つの騎乗停止を並べてみましたがいかがでしょうか。

北村宏司騎手も3回の騎乗停止を受けましたが、彼との違いは、全て菱田騎手の自分勝手な乗り方で起きているという事です。
北村騎手の事例は馬の癖と競馬の流れによるものと接触後のパニック的動作によるもので、意図的に乱暴な騎乗をした訳ではありませんでした。
対して菱田騎手は全て目先の利益を求めた物で、これは真に反省の求められる事象です。
もし、飲み屋で彼らに出会ったら、北村には「まぁ、色々あるけど頑張れや」と一杯奢り、菱田には「なに自分勝手に乗っとるんじゃボケェ」と蹴りを入れる事でしょう。
一般的な評価として、この二人はほぼ同等の評価を受けるでしょうが、私としては、きちんと分別して評価できる業界であってほしいと思います。

しかし、このサイトを立ち上げた途端、物議を呼ぶ事象が立て続けに起きるとか、ここはなにか呪われているんですかね。


※2015/11/03
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