「競馬の天才」のコラムで思うこと

水上学の口アングリーってあったじゃないですか。
読んでる側の口があんぐりするやつ。
出版社側に色々あって、編集部が丸々移籍して雑誌の名前が変わったものの、内容はそのまま。
クオリティーもそのまま
その連載に対する何かが沸点に達したが故のエントリー。

連載名は変わってるけど口アングリーのままでいいだろう。
ここ3ヶ月は降級廃止に伴う諸問題が主題。
はっきり言って、先月号も先々月号もツッコミたかったが「次号に続く」だの「別項で書く」だの書いていたので、Twitter上で軽く皮肉る程度に収めていた。

そして、今号のお題は新馬戦の除外問題。
確かに新馬戦の除外状況は深刻だ。
当サイトでも取り上げたが、中々に解決の難しい問題でもある。
競走数を増やすのが最善だが難しい。
これは水上学大先生も指摘しているが、次善として編成の組み換えによる緩和策を出してくれた。
私では想像もつかなかった案ばかりである。
それでは紹介していこう。


その1・中京の障害戦を減らすべし

この部分を読んだ瞬間、頭の中で「ブチッ」と音がした。
具体的には、1日2競走を続けてやる必要は無いらしいから1個削れとの事。
たかが6日開催8競走中の1つであるが、この重さを理解していない。
年明けの障害競走は新馬・未勝利戦に負けず劣らずの出走ラッシュなのをご存じない様子。
秋の未勝利戦で勝ち上がれなかった馬が、中央でガッポリの夢を捨てきれず「俺にもオジュウチョウサンが欲しい」と障害調教から帰ってくるのがこの時期なのである。
障害競走は競走数が足りていないにも関わらず、平場の出走需要を埋めるためジリジリと削られている現状があるのだが、年明けの除外状況は特に厳しいものとなっている。
年明けの中京障害未勝利戦で出走に必要だった出走間隔を見てみよう。

見れば単純、全競走で2ヶ月近い出走間隔を取らなければ抽選対象とすらならない状況なのである。
これと並行して行われたオープン2鞍でも7頭、6頭の除外馬を出している。
大先生の考えでは、代用レースが殆ど無い障害戦でこのような状況からさらにレースを減らせという事らしい。
「平地がどうにもならんから障害は潰れろ」と暗に考えているのか「単純に知識不足」なのか分からないが、どちらにしろ救いようがない
これが障害競争を愛する者として、このエントリーを書いている理由である。

2.出走数の少ない2歳500万下を削るべき

これは分かる。
が、とりあえず降級廃止とスリーアウト後の在厩比率の変化を見てみないと何とも言えない所でもある。
新馬戦の除外多すぎ、3歳条件戦の頭数少ない問題」でも書いたが、条件戦の出走数の少なさは、在厩新馬による圧迫という部分も大きい。
未勝利馬の減少によって緩和されるが、それによってどこまで出走頭数が回復するのか、どのように回復するのか。
シミュレーションはいくらでもできるが「来年からすぐにでも~」とはいかないだろう。

3.小倉に新馬戦が2鞍しかないのは意味がわからない

これは分からないでもないが、簡単に増やせるかは微妙なところでもある。
というもの、栗東から遠く美浦からはクソ遠い小倉開催。
そこには直前輸送ではなく小倉滞在でレースを使う馬がいる。
そして「滞在させたからには2回はレースを使いたい」と考える陣営も少なくない。
ということで、現状では未勝利戦と500万下競争を多く組み滞在馬の出走需要を優先して満たしている。
新馬を使った馬は未勝利戦に周ってくるので、そちらを増やす必要があるからね。
ただ、現状の新馬の除外問題を考えた時にどちらを優先するべきなのか。
簡単に諦めていいのかは微妙である。
開催後半は滞在馬に優先出走権を与えてアグレッシブに競争を削るとか?
んー、もう少し良い落とし所もありそうな気がするが、数字を出しながら考える気力が今はない。

4.前年実績に応じて新馬戦を増やさない意味が分からない

水上先生は新馬戦を使った馬は蒸発するとでも思っているのだろうか。
小倉の新馬増発案でふと過る疑問が色濃くなる。
新馬戦の増発では、セットで未勝利戦の増発も必要だ。
現状の未勝利戦では5着以内の権利馬とそれ以外の非権利馬で深刻な出走格差が生じている。

出走頭数に応じた安易な新馬戦の増発は、未勝利戦の出走格差問題の深刻化に直結していく。
2015年から1年1競走ずつという微調整レベルでしか増やすことができないのは、未勝利戦で抱えている問題を解消できていないからである。
20年に渡って燃え上る除外の炎をJRAがスリーアウト制度等で少しでも収めようとしているのに、水上先生は薪を焚べようとしている


とまぁツッコミを入れたが、そもそもの問題として、この人は未勝利戦の除外問題を理解していない節がある。
2歳重賞増発による2歳偏重の番組編成により晩成タイプが苦しくなっていると様々な所で書いてるが、晩成タイプは夢見る重賞の前に未勝利戦をまともに使えねぇ現実の方がはるかに重い。

こんな連載が紙面のトップ辺りに来るという事は、鵜呑みにして信頼している人も多そうなのは実に嘆かわしい。
まぁ「水上学が書いていることを否定することで現実の問題に対する理解が深まる」という意味では貴重な連載である。
Twitter上では逆神予想としておなじみであるが「予想以外の部分も逆神である」という事を報告して当エントリーを締めたいと思う。

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