御乱心が好きだ

御乱心が好きだ

ここでの御乱心は三遊亭円丈著のノンフィンクション小説の事。
落語家の著作としては談志の現代落語論、談春の赤めだかに並ぶ有名作だが実は最近まで読んだことがなかった。
その本が30年の時を経て文庫化され出版されており、読んでみたのだが実に面白い。

やっとの思いで真打ちになり披露興行を終えたけど、どうやら一門の仲間が騒がしい。
師匠の圓生と一番弟子の円楽がなにやら独立だと騒いでいるけど・・・

という落語協会分裂騒動を著者の視点から描いている暴露本的内容なのだが、30年という時の流れが生々しさを薄れさせて文学的な価値を生み出している、という夢枕獏の解説は全くその通りである。
そして、現代の会社組織に置き換えることができる話であるのも面白さの一つだ。

それなりに経験は積んだけど中間管理職にも満たない立場。
何か変なプロジェクトに放り込まれて上司とその参謀的側近が色々動いているようだけど、その情報が上から降りてこない。同僚も同じようであり皆不安を抱えている。
そこでプロジェクトに参加している別部署の立場の近い人間と会ってみたら、知っておくべきなのに知らされていない情報を知らされて上司に不信感を募らせる。
さらに、その情報を知ってる人間と知らない人間が部署内にも混在している事がわかってきて、仲の良かった同僚を信じられなくなる。
最終的にそのプロジェクトは失敗。
何人かは退職し残った者も互いの心は離れてしまった。
結局、あの仕事はなんだったのだろう。

なんとなく自分の心にも半分突き刺さる流れである。