私的3歳ダート路線整備論

未開の山は登れるのか

「頑張れ地方競馬!」と言うのは簡単であるが、この問題を解決するためには様々な問題が立ちはだかっている。
特にトレセン調教と競馬場調教という「中央と地方の施設差」というのは、どうしようもなく解決困難である。
この問題が立ちはだかる以上、地方は基本的に負け戦であり、競走馬の確保は新馬よりも使い古された古馬が中心となるのが自然となる。その中には思わぬ掘り出し物もあるが、基本的には使い古されたなりの馬であり、地方の年金競馬化を止める事は難しい。


今年からNARでは地方競馬強化指定馬制度という外厩調教費用の補助を始めたが、これは競馬場内厩制の敗北宣言とも言える施策である。
一般的には「何を今更」感のある反応だった印象だが「競馬場調教より外厩調教の方が優秀」というNARの宣言は、個人的に衝撃であった。
この制度を究極的に拡大解釈すれば「認定外厩なんてチマチマしたことなんてせずに外厩枠を大胆に広げればどうじゃ?」というメッセージとも受け取れる。
そして、施設差問題を埋めるためには、それが近道であるのも確か。
立地によって有効性の差異はあるが、ウッドや坂路といった調教施設を中央のトレセンよりも安い預託料で預け鍛えることができるインパクトは相当に大きい。
それも新馬優先で枠を与えて「南関なら安いコストでレースに使いながら中央トレセン並の外厩調教が出来まっせ~」とすれば効果はなお見込めるだろう。

もちろん外厩制への移行は難題が山積みである。
公正確保と雇用問題の両巨塔だけでも頭がクラクラするし、ファン心理として外厩で育った馬をオラが競馬場の馬と認めるのか?、という面も重い。
地方競馬の廃止ラッシュでも究極的なコストカットと言える内厩性の放棄を行う競馬場は現れず、チョモランマの未開ルートを縄梯子一本で挑戦するようなものでもある。
それでも、JRAと本気で戦うのならば、この道も通らなければならない過程の一つとなる。


設計者求む

預託枠の拡大はトレセン村に競争原理をもたらす施策であったが、図らずも地方競馬もその競争に巻き込まれる結果となった。
タイミングが悪いことに売上の減少、賞金の削減が重なり、それに伴う廃止ラッシュの波で身動きの取れぬ時が続いてしまった。
しかし、ネット投票の拡充により売上は回復し前向きな施策も取れるようになってきた。
各主催者が切れるカードは増えている。

現状の小さい施策で繋ぎながら生産頭数の回復という天恵を待つのか、そして生産頭数が回復せずともJRAの施策に身を任せるのか、
それとも負け戦ならとことん負け戦として開き直り「新馬足りねぇから2000頭ぐらい周ってくる施策プリーズ」とJRAに新馬供給の庇護を求めるのか、
反対に競争原理に則って制度や設備を整備して馬を呼び込むのか。

そして、競走馬資源の確保において若駒とJRA落ちの古馬をどのような割合で確保していくのか

各主催者の思惑は異なるだろうが、共通した一定の方向性を決める必要はあるだろう。
そして、この方向性を決めるにはJRAとも生産者団体とも協議が必要だ。
競走馬の資源サイクルをどのように設計するのかというスケールの話である。
「オウ、雑魚が粋がってんじゃねぇよオラ、馬が欲しいなら土下座でもしろやオラ」
「何を偉そうにしてるんじゃコラ、てめぇの余剰馬をどういった形で引き受け解消するかって話をするんじゃコラ」
「あんまり手当削りすぎるなっぺよ、低価格帯が売れなくなるっぺよ」
といった感じで出来る限り対等な立場で協議して、良い落とし所を探って欲しい所である。

ちなみに、個人的にはどの辺を落とし所にするのがいいのかといえば・・・

┐(´ー`)┌ サッパリワカンネ

どの時代においても、産業設計から豪腕を振るえる人間は稀有である。


次:降級廃止にも対応できる優先出走順位改革案
その6:JRAのスリーアウト法導入についての一考察
その7:将来トレセンの25%が廃業する事になる(かもしれない)という話
その8.新馬戦の除外ラッシュが長期化するかもね


コメント

  1. ペルノ より:

    2歳3歳のダート路線拡大も冬から春の障害重賞(6競走程度)から回せば予算も問題無い。

    地方は新馬戦は諦めて(もう新馬の入る厩舎も限られてるし)、負け戦の3歳路線からで仕方ないね。

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます

      障害を削るのはやめてぇぇぇぇ

      という個人的な感情は置いといて、
      地方もそう割り切ってしまえば話は早いんですけどね。
      現状では中途半端に抵抗してるのがなんとも煮え切らない。
      2歳戦の賞金が完全に浮いてるけど、JRAに抗するには足りないという。
      そういう意味で、JRAがバッサリ介錯するのもありなのかもしれませんが。