田中勝春のフェアリーSを検証

ちょっと遅れましたが、話題となった大斜行を掘り下げてみようと思います。
ちなみに、この事象に関して、田中勝春騎手はブログで下記のようにコメントしています。

その直線での斜行は、馬がバカついて、

ラチに向かって逃避したというのが正直なところ。

オルフェーヴルの阪神大賞典での逸走や

エイシンヒカリのアイルランドトロフィーを見てもわかる通り、

ああなってしまうと、騎手の力だけではどうしようもないのも事実

嘘つけ

と、多くの人が思っているでしょうが感情的になってはいけません。
もう一度レースを振り返ってみましょう。

そもそも、勝春のコメントで例に上げてる2例は原因が別だと思うんですよねぇ。

オルフェーヴルは馬群から離れて馬なりで走らせたがために馬がレース終了と誤認識したように見えます。馬の問題もあるとはいえ、きっかけは騎手の扶助というのが私の見解。

一方、エイシンヒカリは騎手の扶助に関係なくどんどん外にヨレて行きます。これは騎手の扶助関係なく馬の資質の問題。

さて、今回のケースはどちらだったのでしょう?


2016年1月11日中山11R:フェアリーS
制裁内容:最後の直線コースで外側に斜行したことについて平成28年1月16日から平成28年1月31日まで騎乗停止(実効6日)
レース経過:

図1:直線入り口、囲まれる勝春さん
20160111中山11_01

図2:直後、右肩ムチをガンガン入れ始める。
20160111中山11_02
20160111中山11_03

図3:さらに、重心を左に寄せる勝春。すでに肩ムチの影響か一頭分外にヨレている。
20160111中山11_05

図4:外のレッドシルヴィに圧力を掛け押し出していくが、修正する素振りもなく重心を寄せたままさらに右肩ムチを打ち込む勝春。既にどれだけヨレているかは左手前のビービーバーレルとの差でお察し下さい。
20160111中山11_06
無題
無題

図5:「そんなに外の馬に行け行けと要求するならやったるわ!」といった感じで馬のスイッチが入り制御不能になり外へすっ飛ぶコパノマリーン
20160111中山11_07

図6:以下、大惨事
20160111中山11_08


図5以降の斜行は、勝春のコメントの通り、馬が制御不能になってのもので、例に上げたオルフェーブルやエイシンヒカリ、直近で言えばドゥラメンテの皐月賞と同様のケースです。
こうなってしまうと、人間の手ではどうしようもありません。
しかし、図1~4を見れば、その根本の原因は勝春の扶助が積み重なった結果と言い切っていいでしょう。

そもそも、外に張られてるのにガンガン外へ寄せてる段階でおかしい。普通はムチを持ち替える等で修正動作を行わないといけないシチュエーションです。
内一頭分開けろとガミガミ煩いくせに、外に壁がある状態で内から圧力かける扶助を平気でかまして吹っ飛んで、レース後のコメントでは「外へ逃げた」だの、「フワッとした」だの、そんなコメントを言えたもんだなと思います。
外にピッタリ張り付かれた状態で右へ重心を大きく傾けさらに右肩ムチをガンガン打てば、馬のスイッチが入っても当然なんです。
悪癖でも気を緩めた訳でもなく、騎手の扶助に対して真摯に応えようとした馬の気持ちが現れた結果なんですよ。

「若い馬だから難しいよね」、なんて書いてる元騎手の人もいましたけど、吹っ飛ぶための下ごしらえは十分すぎます。
若手なら経験不足の4文字で収まりますが、デビュー27年の騎手の所業に対しては、感性の衰えという言葉を送るしかありませんね。