降級廃止の効果を検証しよう

コロナウィルス等の影響でまっとうな評価ができねぇ

という前ページを置いといて何だが、大量除外やら移動禁止やらで数字の評価が極めて難しい。
他にも開催数の調整が入っているし、昨年9月中山阪神開催における1勝クラスの見込み違いというJRAのハズレ施策も困ったちゃん。
どうしたものかと色々と悩んだが、ここでは、カカオやコロナなんてないトランプイズムを採用して話を進めるのであしからず。
なお、期間の区切りも6月~5月間とに設定して数字を出している。
雑な区切りで開催日数に差が出るが、こちらも無視して話を進める。


各クラスの出走状況が平衡化された

どうしても黙ってられないので以前に書いた事を何度も繰り返すが、降級廃止は上級条件の充実ではなく、下級条件の出走状況改善が目的である。
これは、単に言い回しを変えただけではない。
JRAは上級条件の充実は建前以外の何物でもないし、抱えている問題は違う所にある。
多すぎる競走馬と馬房、足りないレース数。
それによって生じている出走格差を是正するのが目的だ。
その根本を理解してない連中は、本当にアホかバカかと直球をぶん投げたくなる(トランプイズム)

って事で降級廃止の効果だが。
結果から書けば、降級廃止により1勝クラスの出走状況は緩和され全体的な出走頭数の平衡化がなされた。

3勝クラスの数字が楽しい事になりつつあるが後回しにしておいて、このページでは下級条件について少し掘り下げておこう。

1勝クラス短距離路線の出走間隔が改善された

今回の降級廃止では競走数の調整も入ったものの、所属頭数が減った1勝クラスの削減は最低限といえるレベルであった。
1勝クラスの出走頭数がほぼ予定通り10%以上減少した一方で、競走数の削減は3%ほどに留めた。

2016-2017 2017-2018 2018-2019 2019-2020
出走頭数 3000 3174 3117 2781
競走数 858 867 858 837

これにより1勝クラスの需給状況が改善され、非権利馬(前走6着以下)の出走状況、特に深刻だった短距離競走で改善が見られている。

権利馬(前走5着以内)と比較すれば依然として厳しい状況であることに変わりないが、多少は改善されたという事で。

1勝クラス中長距離路線が少頭数化した

所属頭数が減った一方で、競走数が殆ど減らされなかった結果、中長距離戦の頭数が減少した。

当然といえば当然だが、この路線の需要はどのクラスも少ない
上に回した所で、回した先のクラスでは少頭数化する事となる。
一定レベル以下で考えた時、とりあえず短距離なら付いて行ける馬と中長距離で脚が上がらずに走りきれる馬では、前者が必然と多いわけで頭数が多ければ多いほど短距離路線の需要比率は大きくなりやすい。

ならば、依然として格差の残る短距離路線を改善するために中長距離戦や障害競走を削っていいと考えるのであれば、賛否は別として主張の筋は通る。
しかし、先に上げた日経の記者はそこまで考えていないだろうし、そうでなければあんな言い回しにならない。また、賛同している人間も同様であろう。
その現状に対する苛立ちが、制裁とは関係のないこのシリーズを書かせている。

2勝クラスは少し悪化した

降級廃止が招く混乱の可能性では、2勝クラスの状況悪化を懸念したが、JRAは重点的に対策を施した。

2016-2017 2017-2018 2018-2019 2019-2020
出走頭数 934 897 933 1058
競走数 424 428 427 474

出走頭数が13%増えたのに対応すべく競走数を1割補充。
予測より出走頭数の増加が落ち着いたこともあり、非権利馬の状況はほぼ現状維持~少し悪化という形に落ち着いている。
懸念された大混乱は避けることができた。

成績下位厩舎の賞金額が増加した

除外待ち緩和の恩恵を受けるのは、権利が取れなきゃ馬を入れ替えれるほど手駒のない成績下位の厩舎。
その影響なのか、下位厩舎の獲得賞金が増加している。

これに関しては雑な期間設定による競走数の違いに加え、引退調教師の数や新馬未勝利の増発にコロナによる移動制限が影響を及ぼしている眉唾な数字の可能性も高いのだが、今後の施策案にも絡んでくるので要経過観察したい数字である。
推移次第では、予備登録枠の引き下げに近い効果と評価される可能性も否定できない。


さて、ここまでは比較的ポジティブな面を紹介したが、全体の競走数がさほど変わってないのに改善された所があるとなれば、当然煽りを食らった所もある。
まぁ、想像通りの部分となるが改めて数字を出しながら確認しておこう。