北村宏司騎手が5日阪神7Rで斜行、短期間に同様の不注意騎乗を繰り返したため、加重制裁で4月11日から26日まで実効6日間の騎乗停止となりました。
「短期間に同様の不注意騎乗」というのはJRA発表をそのまま引用していますが、不注意騎乗の内容は全然同様ではないので、3つの騎乗内容を確認していきましょう。
1月11日中山10R
制裁内容:決勝線手前で外側に斜行したことについて平成27年1月17日から平成27年1月18日まで騎乗停止(実効2日)
レース経過:これはパトロールビデオの内容が不十分。直線半ばから左ムチ連打で追っており右に若干刺さりながら走っていた部分が入っていない。
これを修正するために左に体を傾けた結果被害馬の進路を塞ぐ形となってしまった。馬群から抜けだした形もフラフラする一因になってしまったと思われる。
私見:体勢修正の失敗による斜行で2日の騎乗停止は少々重いが重大事故の可能性も加味されたか。
レース映像
(間から抜け出してくるのが北村宏騎乗のオメガキングティー、白い帽子が被害馬のラインハーディー)
2月11日東京11R
制裁内容:2周目4コーナーで外側に斜行したことについて平成27年2月28日から平成27年3月15日まで騎乗停止(実効6日)
レース経過:
図1:4コーナー入口
赤円:北村宏司@フェイムゲーム(加害馬)
黄円:後藤浩輝@リキサンステルス(被害馬)
緑円:石橋脩@タイセイドリーム
桃円:柴田善臣@カムフィー
4角半ばの後方待機勢が前に動いていく局面、北村@フェイムゲームも押し上げている局面だが、前を走る石橋@タイセイドリームの動きが悪く下がってきているのが非情に重要。
図2:4コーナー半ば
注・2枚の写真は注釈円の有無以外は同一のもの
動きの悪いタイセイドリームを交わすためにフェイムゲームは緩やかに外へ持ち出す。
この際に急に外へ動いて後続馬の進路をカットすると危険騎乗となるが、外のカムフィーを軽く押しながら外に持ち出す形は危険回避動作としては許容範囲内。というか回避しないと競馬にならない。
しかし外に押し出されたカムフィーの半馬身後方にいたタイセイドリームがいたために・・・
図3:落馬場面
注・2枚の写真は注釈円の有無以外は同一のもの
カムフィーの脚に引っかかったタイセイドリームが落馬。
両馬が完全に並走していれば共に外に流れる動きになっただろうし、1馬身後ろにいれば手綱を引く余裕もあっただろう。
これも競馬というしかないが、その結末はあまりにも残念なことに。
私見:事象としては、後退する馬を回避するための動作が結果として落馬に繋がった。
競馬の流れ上の事故であり、これで騎手の責任を問うのは酷。
実効6日の騎乗停止は不適当。
レース映像
4月5日阪神7R
制裁内容:最後の直線コースで内側に斜行したことについて平成27年4月11日から平成27年4月26日まで騎乗停止(実効6日)
レース経過:
図1:直線入口
赤円:北村宏司@ロワサーブル(加害馬)
黄円:藤田伸二@オアフライダー(被害馬)
緑円:菱田裕二@ニジノハヤテ
北村@ロワサーブルの前にはスペースが2箇所。
前を走る2頭の間か、その外か。
日本の騎手はスペースを絞められることを想定して外に持ち出すことが多く、今回も外に持ち出そうとするが・・・
図2:直線入口2
注・2枚の写真は注釈円の有無以外は同一のもの
不用意に外に持ちだした北村宏が菱田@ニジノハヤテにゴッチンコ。
図3:直線入口4
ぶつかって慌てる北村さん、慌てて反対をよく見ず右に手綱を引いた結果・・・
図4:直線入口4
反対方向にいた藤田@オアフライダーの進路を豪快にカット!
落馬しなくて本当に良かったよ。
私見:周囲を確認せず外に持ちだした結果衝突、慌てて急激な進路変更を行った結果、大きな被害が発生。
1年目のアンちゃんのようなお粗末な事象で文句なしの騎乗停止。
レース映像
さて、北村宏司騎手が今年受けた3つの騎乗停止を並べてみましたが、どのような印象を持ちましたか?
今回の事例は0点騎乗ですが、前の2例は騎乗停止とするには極めて微妙というのが私の感想です。
世論には審議に対して文句を言う割に、こういう騎乗停止は盲目的に引用して荒い騎乗だと結論付けるようなところがあります。
このサイトは制裁事例を集積し過去の事例と比較できるようにするのが一番の目的としています。
騎乗停止だから荒いと安易に結論付けるのではなく、過去の事象と比較して意見を出せるような人が増えてくれれば幸いです。