降級廃止が招く混乱の可能性

JRAが放てる禁じ手

クラス間のレース数調整で解決できなかった場合には、どこからレースを調達すれば良いのか。
これまでの策以外に挙げられるのは、既存路線で出走数に余裕のある所からの調達である。
それはどこかといえば・・・

から取ってくればいいという事になる。
一見、自然な考え方ではあるが、これには大きな危険性が含まれている。

ここ10年ほど、条件戦における路線別のレース供給数に大きな手は入っていない。
ダート中長距離線を減らしてダート短距離戦に回しているものの、芝とダートという馬場の枠組みで見れば、安定して推移している。
芝からダートへの転換供給は、予備登録枠拡大直後の混乱を再現する可能性を秘めている。

問題はそれだけでない。
もし転換供給を決断したとすれば、ターゲットとなるのは芝の中長距離戦だ。
この路線は同クラス内でも力差がハッキリしていることで少頭数となることも少なくないのだが、盲目的に出走数の最大化を実現しようとすれば、少頭数の理由を無視して手を付ける事になる。
しかし、元々施行数の少ないこの路線を削れば、路線維持に大きな影響を与えることになるし、晩成タイプのスターホース候補の出世に大きな影響を及ぼす可能性もある。
それだけに、芝からダートへの転換供給は禁じ手に近い手法であるし、JRAも最後の最後までこの手段を使うことはないであろう。
ないであろう。
ないであろうが・・・絶対ないとは言えない部分もある。


コメント

  1. いち競馬ファン より:

    興味深く読ませていただきました。
    私自身も現状に文句を言うだけの一部の評論家と同じことをしていたので目から鱗が落ちる感じでした。
    現状、専門誌などではこうゆう記事は私が見てる範囲では期待できないのでこれからもこうゆう記事があることを期待しています。

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      一応、このシリーズはあと2,3回続きます。
      自分としては、これらの問題を語る時には、何が原因で何が起きているのかをきちんと共有しなければならないのだろう、という認識です。
      この問題を解決するにはどこかを切り捨てなければならないんですが、問題を共有できぬままで強行した所でろくな事にはならないですから。
      開催日数の拡大を実現できる政治力のある人がポンと出てくる奇跡が起きれば話は別ですが。

  2. いち競馬ファン より:

    単純な開催日数の拡大ですと地方は反対するでしょうし、ダート馬の問題含め何をするにしてもやっぱり中央と地方が一括した組織になるほうがよりスムーズに問題は解決できそうですね。それが難しいから小手先だけで解決する方向にいってるんでしょうけど

  3. Luthier より:

    開催日数の拡大は地方よりも官僚と政治機構でしょうねぇ。
    海外馬券の発売でも売上に何かしら紐付けしようとしてましたし、あいつら使えねぇ。

    この問題は中央と地方が一体となって考えないといけないんですけど、なかなかその方向に行く気配がない。
    本来は一体となって競走馬のライフサイクルのモデル構築しないといけないんですけどね。