降級廃止が招く混乱の可能性

JRAが放つ第1の矢

東スポの記事となっていたが、JRAは抹消給付金の減額を前倒しする準備をしているようである。
抹消給付金とは、登録抹消した馬に対してJRAから支払われている給付金の事。
その金額は例によって外部(リンク)に投げるが、3歳6月以降は減額される形となっており、いわば「見込みのない馬はとっとと出てけ」というメッセージが込められている。
この給付金の減額措置が、詳細は不明であるが前倒しになるという。
まとまった頭数を持っていると1千万レベルで影響してくる話なのでそれなりに効果は見込めるだろう。
この措置によって未勝利馬の抹消を早まる事になり、春先の3歳未勝利戦の一部が他クラスの競争へ転換できる事になる。
但し、未勝利路線も除外問題を抱えているだけに、これだけで十分なレース数を確保できかは微妙。
では、JRAが他に出せる手段を考えてみよう。

JRAが放てる裏技その1(2歳・3歳路線からの調達)

2歳・3歳の500万下・OPから調達する手はどうだろうか?
ただし、上にも書いた通りこの路線は新馬・未勝利戦の除外問題を抱えている。
現状でも500万・OPを削って新馬・未勝利に回している事もあり、1000万下の除外問題を緩和できるほどの余裕はないと見るのが自然だろう。

JRAが放てる裏技その2(地方交流競走)

JRAは開催数を増やすことは出来ないが、JRA馬が出走するレースを増やすことはできる。
地方競馬指定交流競走がその手段である。
一般的に地方との交流は重賞競走のイメージが強いが、未勝利・条件戦においても交流競走は実施されており、平成29年度では156競争が行われている。
ただ、これらの殆どは未勝利と500万下であり、1000万下の交流競走は数えるほど。
賞金差を埋めるために、賞金の一部をJRAが持ち出さなければならないし、中央の1000万下と釣り合う地方の条件となると、南関では準重賞、佐賀になると霧島賞という最高峰クラスのレースが必要になってしまう。
500万下クラスの交流競走を乱発して500万下を実質外注化して余裕を生み出す策もあるが、賞金差額を補填するためのコストが無駄に掛かる上に、結果的に1000万下の馬が増えることになるわけで場当たり的な対策でしかならず現実的ではない。

現実性の無い案を無駄に読ませるなというお叱りを受けつつ、他にどんな策が考えられるであろうか・・・


コメント

  1. いち競馬ファン より:

    興味深く読ませていただきました。
    私自身も現状に文句を言うだけの一部の評論家と同じことをしていたので目から鱗が落ちる感じでした。
    現状、専門誌などではこうゆう記事は私が見てる範囲では期待できないのでこれからもこうゆう記事があることを期待しています。

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      一応、このシリーズはあと2,3回続きます。
      自分としては、これらの問題を語る時には、何が原因で何が起きているのかをきちんと共有しなければならないのだろう、という認識です。
      この問題を解決するにはどこかを切り捨てなければならないんですが、問題を共有できぬままで強行した所でろくな事にはならないですから。
      開催日数の拡大を実現できる政治力のある人がポンと出てくる奇跡が起きれば話は別ですが。

  2. いち競馬ファン より:

    単純な開催日数の拡大ですと地方は反対するでしょうし、ダート馬の問題含め何をするにしてもやっぱり中央と地方が一括した組織になるほうがよりスムーズに問題は解決できそうですね。それが難しいから小手先だけで解決する方向にいってるんでしょうけど

  3. Luthier より:

    開催日数の拡大は地方よりも官僚と政治機構でしょうねぇ。
    海外馬券の発売でも売上に何かしら紐付けしようとしてましたし、あいつら使えねぇ。

    この問題は中央と地方が一体となって考えないといけないんですけど、なかなかその方向に行く気配がない。
    本来は一体となって競走馬のライフサイクルのモデル構築しないといけないんですけどね。