降級廃止の効果をもう一度検証しよう

さて、ここからは話を変えて降級廃止との関係は薄いけど、競走需給問題として大事な話を少々。

古馬頭数が登録枠削減前に戻りつつある

年間の出走頭数はほぼ一貫して増加を続けているが、古馬混合戦の出走頭数は2013年に200頭ほど減少している。
これは、2013年に行われた予備登録枠の削減(馬房×3→2.5)による効果だったのだが、減らした古馬の出走頭数は回復傾向を保ち、ついでにデビュー頭数が増加した事で全体の出走頭数を押し上げている。

古馬の数字は4年前の段階で戻っているだけとも言えるのだが、馬房削減との絡みで見た目の数字以上に影響を及ぼしてる可能性もある。
直接何かの現象の原因を指し示している訳では無いが、関連できそうな数字の候補の筆頭として置いといてほしい。
率直に言えば、↓の現象と結び付けそうだけど上手いこと行かないんで誰かやってくれ。

JRAのデビュー頭数が減少した

2019年デビューから3世代分の新馬・未勝利の編成数は、ガツン増やしたと思ったら減らし、その翌年はまた増やしてとJRAはえらく揺れており出走状況も揺れているのだが、降級廃止前よりレースは多く組まれている。
スリーアウト制だけでは必要な出走枠を創出できず、降級廃止により生まれた1勝クラスの余剰分の一部を新馬・未勝利戦に充てがった訳だ。


※年は生産年

根本原因はJRAデビュー頭数が生産頭数と反比例するように増加を続けているため。
さらに生産が回復したとなれば、デビュー頭数も青天井で増えていくかと思われたが、昨世代は微減となり、今世代(2019年産)のデビュー頭数は昨年から50頭近く減少した。


さらに加えると、今年の夏季開催終了時のデビュー頭数は昨年から84頭も減少している。
以前のエントリーで書いたように、年間のデビュー頭数は少なくとも4400頭位に収めたい所であり、この流れは適正化ともいえるのだが、ここ2年で厩舎制度に大きな変化はなく、生産頭数が増加し若駒セールも活況を示しているにも関わらず、新馬が減少している事には違和感がある。

「地方競馬の賞金増で新馬が流れた」とも考えられるが、生産頭数や入厩希望の減少といった外的要因で現れるはずの、下位厩舎から頭数が削られるような格差の兆候は見られない。

一番上は置いといて。
これは増加している厩舎を見ても同じで、地方に取られた印象は見受けられない。

「切り取り方に悪意がある」という指摘は却下。
「あんな厩舎にもこんなに入ってるのかよ」という率直な意見もお控えください。

この辺の数字や厩舎が1年に手掛ける頭数を見ると「上位だけでなく中堅クラス以下でも勝ち上がり馬に対して登録抹消馬が足りず、登録枠の圧迫が新馬の登録に影響を与えている」という印象を受けるが、それを確定させるにはもう数年は様子を見たい所であるし、そもそも結論として少々安易な感は否めない。
この両者を上手いこと紐付ける事ができる数字を見つけたいのだが、正直ワカンネ
今の環境でデビュー頭数が100頭違うと、出走需要に恐ろしく影響を及ぼすだけに「ワカンネ」で済ませてはいけない要素ではあるのだが。

1月の新馬戦除外が減った。

新馬絡みでワカンネ話をもう一つ
名物ともいえた正月新馬除外ラッシュが今年は大幅に収まった。


※年は開催年

今年最大の謎現象である。
日割や競走数は毎年異なるし、3月新馬の廃止(2021年)等の制度変更もあったし、ここ2年は競走数を集約していたりと色々な要素はあるのだが、2年前は300を超えていた除外数が一気に50まで減少するとは夢にも思わなかった。
また、最終的な年明けデビュー頭数そのものは昨年より増えているにも関わらず、1月新馬戦の出走需要が示し合わせたかのように減少しているのも理解し難い現象だ。

3歳初出走馬の未勝利出走奨励金の設定が関係者の心にジャストヒット!、したと言えなくもないが根拠として弱すぎる。
そもそも新馬戦の出走枠を待ちきれず未勝利デビューする馬も今年の1月は2頭だけであった。
何か構造的な変化と結びつけるものが欲しいのだが、要素の想像すら付きまへん
とりあえず、来年の除外状況にも注意したい。


コメント

  1. 名無し より:

    いろいろと素人考えをこねくり回してみたりしたんですが、結局のところ法律改正して一日の競走数を増やすか開催日数を増やすかしかないんじゃないですかね
    大金持ちの馬主さんとかにロビー運動してもらったらなんとかなるかも(馬主のメリットは考えないものとする、あと馬場の管理保守業者がめっちゃ大変になりそうだが)

    もしくはまさかのフルゲート頭数拡大とか(競走馬及び騎手の安全性は考えないものとする)

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      結局はそういう事なんですわ。
      どれぐらい必要かは以前のエントリーに任せますが、フルゲート拡大だけではおっつかないでしょうなぁ。
      馬主だけでなく、競馬界全体(ファン含む)で問題意識を共有しなければいけなかったと思うんですが、どうしてこうなったんですかねぇ。
      西山オーナーの競走数を増やして欲しいという要望が却下された過去の話が競馬界として軽く見られてますわな。
      2005年辺りの段階で競争需給の根本原因は明らかな数字として出てるんですが、売上低下の流れで見過ごされたんでしょう。
      経費削減しなければいけないのにレース増やすことの意味が分からんと。
      まぁ、変革の過程で同じテーブルに上げたのが失敗だった。
      そんな所なんですかね。

  2. mizucchi41 より:

    なんとかして競争数を増やすとして、きりのいいラインを探すと常時3場開催となる39開催への増加あたりがきりがよさそうではありますが、そうやって増やした場合各階級にどんな感じで割り振ると比較的改善するんでしょうかね?
    追加3開催でだいたい288競争は確保できる計算になるはずですが、未勝利からOPまでの5階級に均等に割り振るのもなんか違う気もしますが…私の頭では増やさなきゃどうにもならないことはわかってもどう増やすのがいいかまではなにもわからない…

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます

      均等に増やしたら中長距離やOPが供給過多になりますから、基本はクラスと路線を分けた在厩馬の比率で考えることになるんですが、これが厄介でねぇ。
      新馬の供給過剰に拍車がかかってますから、需要自体は未勝利戦一番大きいんですけど、これを増やすと抹消率が下がり登録馬の全体は増え続けてしまい(実は現在もこの問題は抱えていたりする)、レースを増やした2,3年はいいけどその間に需給問題が膨れ上がるのは目に見えている。
      ・・・となるので1勝クラスを中心に増やしたいんですけど、そうすると増やしたいクラスと在厩馬のギャップが生じて少頭数化する可能性がある。

      なので、まず設計するべきは世代のデビュー頭数と出走回数と在厩率、それに対して現状の1勝クラス需要と勝ち上がり頭数の増加影響度を・・・となるんですが、この時点で予想の数字になってしまうので色々と的外れになる可能性が高そうなのよね。
      9月の未勝利戦を繰り上げて1勝クラスを増やしたら少頭数になっちゃったみたいなもんで。

      しかし、新馬の増加はどうするんですかねぇ・・・