降級廃止の効果をもう一度検証しよう

オープン競走の状況は悪化の一途を辿っている

さて、前回は触れなかったオープンクラス。
重賞競走は置いといて、現在問題となっているのがオープンとリステッド競走である(以下、OP競走)。

所属クラスの全体的な押し上げが図られた結果、OP競走の出走頭数は100頭ほど増加を遂げている。
それに伴い競走数も増やして入るものの、増加する出走需要の半分以下に留まっており、当然ながら状況は悪化している。

2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
出走頭数 434 421 432 438 512 544 —-
競走数 79 79 77 79 88 94 98

オープンは出走順位が条件戦と大きく異なるが、丸めるだけで状況把握として十分な数字と言えるだろう。
何度も書いているが、馬房と競走馬に対してレースが足りない根本が解決されない以上、どこかを改善すれば必然と別箇所に歪みが生じる。
後で記すが、競走馬の登録頭数が増えているのも状況悪化に直結していると思われる。
ただ、現在の数字は悪化しているが、以前のOP競走は条件クラスと比べて恵まれた状況であったとも言える。
条件クラスとの釣り合いをどう取るか、どう妥協するか、という落とし所を探り続ける不毛な旅である。
JRAは稼いだ馬はとっとと出てけ」という姿勢であるが、それを真っ正直に言えず、かといって頭も下げれない、プライド高きへっぴり腰野郎でもある。

そんな胴元は置いておくとして、この状況に対しニシノでおなじみの西山オーナーが提言を書いている。

色々と書いているが、結論としては

1勝クラスを開催で1R減らして、平場のオープンを1R増やせばすべて解決する。

というもの。
これまで色々な記事で見てきた単なる「路線整備しろ」といった愚痴と違い、需給の飽和状態を前提として供給元と供給先と供給量を示した一線を画する提言となっている。
1開催1競走というのは少し多すぎる感はあるが、1ヶ月1走ちょいぐらいであれば落とし所としてはありえるところだろう。

そういった面では素晴らしいのだが、問題も含まれている。
1勝クラスの出走状況は緩和されたが、あくまで緩和であり格差は残っている。
また、短距離路線と中長距離路線では大きな差が生じており、当然ながら出走状況が緩く削減されやすいのは中長距離戦で、供給先は短中距離路線となる。
このシリーズの2回目に書いた盲目的に出走数の最大化させようとする事の危険性が、まさにこれである。

普段は「長距離路線の充実を~」とか言っている人間が、西山氏のエントリーとツイートに無条件で賛同しているとすれば、無意識に二律背反の主張をしている事にもなる。
おのれ西山興業。相も変わらずヤクザなやり方しやがって。
リキスポーツパレスの恨み、末代まで祟ってくれようぞ。

と、書き散らしたくなるのだが、実はこの案に真っ向から反対かといえばそうでもなかったりする。
西山氏のエントリーを、そのまんま引用してJRAが悪い論をしている人間の程度はともかく、次に示す状況を見るとやり方はありそうな感じもある。
なんか今回無駄に喧嘩売りすぎじゃね?


コメント

  1. 名無し より:

    いろいろと素人考えをこねくり回してみたりしたんですが、結局のところ法律改正して一日の競走数を増やすか開催日数を増やすかしかないんじゃないですかね
    大金持ちの馬主さんとかにロビー運動してもらったらなんとかなるかも(馬主のメリットは考えないものとする、あと馬場の管理保守業者がめっちゃ大変になりそうだが)

    もしくはまさかのフルゲート頭数拡大とか(競走馬及び騎手の安全性は考えないものとする)

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      結局はそういう事なんですわ。
      どれぐらい必要かは以前のエントリーに任せますが、フルゲート拡大だけではおっつかないでしょうなぁ。
      馬主だけでなく、競馬界全体(ファン含む)で問題意識を共有しなければいけなかったと思うんですが、どうしてこうなったんですかねぇ。
      西山オーナーの競走数を増やして欲しいという要望が却下された過去の話が競馬界として軽く見られてますわな。
      2005年辺りの段階で競争需給の根本原因は明らかな数字として出てるんですが、売上低下の流れで見過ごされたんでしょう。
      経費削減しなければいけないのにレース増やすことの意味が分からんと。
      まぁ、変革の過程で同じテーブルに上げたのが失敗だった。
      そんな所なんですかね。

  2. mizucchi41 より:

    なんとかして競争数を増やすとして、きりのいいラインを探すと常時3場開催となる39開催への増加あたりがきりがよさそうではありますが、そうやって増やした場合各階級にどんな感じで割り振ると比較的改善するんでしょうかね?
    追加3開催でだいたい288競争は確保できる計算になるはずですが、未勝利からOPまでの5階級に均等に割り振るのもなんか違う気もしますが…私の頭では増やさなきゃどうにもならないことはわかってもどう増やすのがいいかまではなにもわからない…

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます

      均等に増やしたら中長距離やOPが供給過多になりますから、基本はクラスと路線を分けた在厩馬の比率で考えることになるんですが、これが厄介でねぇ。
      新馬の供給過剰に拍車がかかってますから、需要自体は未勝利戦一番大きいんですけど、これを増やすと抹消率が下がり登録馬の全体は増え続けてしまい(実は現在もこの問題は抱えていたりする)、レースを増やした2,3年はいいけどその間に需給問題が膨れ上がるのは目に見えている。
      ・・・となるので1勝クラスを中心に増やしたいんですけど、そうすると増やしたいクラスと在厩馬のギャップが生じて少頭数化する可能性がある。

      なので、まず設計するべきは世代のデビュー頭数と出走回数と在厩率、それに対して現状の1勝クラス需要と勝ち上がり頭数の増加影響度を・・・となるんですが、この時点で予想の数字になってしまうので色々と的外れになる可能性が高そうなのよね。
      9月の未勝利戦を繰り上げて1勝クラスを増やしたら少頭数になっちゃったみたいなもんで。

      しかし、新馬の増加はどうするんですかねぇ・・・