新馬戦の除外ラッシュが長期化するかもね

降級廃止問題で語ってきたのは古馬の話が中心だったが、無視できなくなったのが新馬の頭数。
今年の2月に新馬戦の除外多すぎ問題を軽く取り上げたが、スーパー未勝利廃止後の状況を見ると「これやばくね?」という感じになってきたので、ここで少し掘り下げてみようと思う。


今年の7月に矢作師が厩舎制度の新たな規制を示唆する内容がサンスポに連載中のコラムに書かれていた。
この規制内容は不明だが、Twitterにも質問が届いていて、自分はこんな回答をしていた。

この時は深く考えていなかったのだが、9月の状況を見ると軽い話で済まない状況となってきている可能性がありそうだ。
というのが、今回のエントリーである。


スーパー未勝利廃止に対するJRAの想定とその結果

スーパー未勝利の廃止により、9月に出走していた400頭前後の3歳未勝利馬の入れ替えが早まることとなった。
それと共に、無くなった3歳未勝利戦が他条件競争に転換されている。
この転換競走の割当はJRAが想定した在厩馬の増加比率とも言えるだろう。

1番注目してほしいのは古馬1勝クラス。
降級廃止で頭数を15%削減したはずの1勝クラス競走が15%増加している。
一見矛盾しているように見えるが、これは2場開催で元々競走数が不足気味だったこと、そして最も大きな理由として未勝利馬泣きのもう1回出走を見込んだものだろう。
それを反映するかのように10月以降の1勝クラス競走は削減されている。
では、実際の出走回数はどうなったのか。
結果を見てみよう。

JRAの想定は大ハズレでした

廃止された未勝利昨年から1勝クラスのレース数を15%大増発したにも関わらず、出走回数は1.3%増とほぼ横ばいとなっている。
ギャンブルジャーナルに「番組的には例年通りでも頭数減で過疎化」というアホな記事があったが、実際はレースを大幅に増やしたのに出走数が変わらなかった、というのが正しい。
この記事を得意げにリツイートした人は、こっそり削除しておこう。

では、1勝クラスの出走数が変わらなかった原因は何なのか。
出走頭数で見てみよう。
頭数とともに前年比に注意して見てほしい。
なお、1勝クラスの数字は未勝利馬と分別して出したのでご注意を。

泣きの1回を見込んだ未勝利馬の大半は素直に退場していました。
レース数を考えるとJRAは150頭以上の未勝利馬出走を見込んでいたと想定できる。
が、実際の数字は42頭止まり。
これが1勝クラス少頭数の原因である。
降級廃止で15%削減された1勝クラスの馬が8%減に留まっているのは、未勝利馬が退場してできた空き馬房の恩恵を受けてのもので、1勝クラスは入厩率が回復すると共に出走間隔も改善した。
また、2勝クラス以上も所属頭数の増加分が出走頭数にある程度反映されている。

ここで一旦まとめ。
スーパー未勝利廃止に伴い9月の出走頭数は以下のように変わった。

350頭の3歳未勝利馬が減り
60頭の古馬1勝クラス馬が減り
70頭の2歳新馬が増え
110頭の2勝クラス以上馬が増えた

あれ、釣り合ってなくね?


2週間で109頭が除外になったよ

未勝利馬が抜けた馬房に入ってきた馬の半数以上は新馬であった。
9月最終週に土日の新馬戦で合計69頭という大量除外に驚いた人も多かっただろうが、それがその結果である。

JRAも新馬戦を4競走増設して準備をしていたが、出走需要が上回り除外数は増加した。

実は、今年も9月3週終了時点の除外数は31で昨年から若干増えた程度だったのだが、最終週の爆発でこの数字。

新馬の調教期間は10年前より1ヶ月は短くなったとはいえ、既出走馬よりも長く各種審査も含めて入厩から出走まで早くて1ヶ月半ぐらい。
最終週の爆発は、8月後半から新馬の入厩が加速し出走体勢が整ったタイミングだった事であり、スーパー未勝利の廃止が全体的な新馬入厩の前倒しを促したと言えるだろう。

新馬の前倒しは9月末段階でのJRA馬名登録数からも見て取れる。

TARGET上に記録されているJRA馬名登録日はマル地の再転入やカク地転出後のJRA出走で上書きされるため、2016生以前は馬名登録数にカク地マル地馬の頭数を丸々上乗せした。
つまり、このグラフにおける過去の数字は下駄を履かせた上でのもの。
9月段階で新馬の登録ペースは昨年から200頭ほど前倒しされている。
しかし、10月以降の新馬戦は昨年から3競走しか増えていない。
除外された馬は、それ以降の新馬戦の出走枠を圧迫していくことになり、それが繰り返されていく事になる。
10月1週でも土日で40頭が除外となり、新馬戦の除外は2週間で109頭という数となった。
13日に急遽新馬戦が1鞍増設されることになったが、果たしてそれで問題が解決できる頭数なのだろうか。

次ページに続く


コメント

  1. Charlie より:

    東京ダート1400の1勝クラスを削って新馬戦に変えるそうですが、目先の解決にしかならなそうですね

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます

      まさに目先だけですねぇ。
      まぁ、目先が大事な時もありますが、この件は目先だけ積もらせていくと後始末も要求されることになるのよね

  2. 名無し より:

    2000の新馬未勝利をなくして1800に変えるというのはどうなんですかね
    あの条件マイルが適距離に見えるという馬が出てこないからフルゲートなんてまれですし
    逆に2000走れる馬なんて1800走れるのも大半でしょうから

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます

      無くはないでしょうけど、正直気休め感は強いですなぁ。
      やらないよりは良いと思いますが、肝は1400m以下ですからねぇ。

  3. mizucchi41 より:

    常時3場開催できるように競馬法が改正されたらまだまともになったりするんですかね…?

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      常時3場開催なら、競走需給は改善できますね。
      根本を言えば至極単純な話で、競走馬と馬房に対してレースが足りないだけですから。
      3日間開催を2場開催の合間に挟むことで需要を吸収する苦肉の策も必要がなくなります。
      ただ、この前のエントリーで必要な競走数を書いていますが、全日3場開催だけでは需要は満たせないので「まだまともになる」という意見もその通りです。