新馬戦の除外ラッシュが長期化するかもね

年明けの除外が緩和されれば良いね

このように、厳しい新馬の状況を提示したが、スーパー未勝利の廃止による新馬の増加は単純に入厩の前倒しであり、年明け前後から発生する新馬戦の除外ラッシュ分散化を果たす可能性がある。
ともすれば混乱は一時的なものであり、年明けの除外状況は緩和され、馬房の効率化も図られ出走頭数も回復することになる。
めでたしめでたし。

まぁ、その可能性は低いけどな。

除外は続くよ終わるまで

9月30日時点でTARGETで確認できる在厩未出走2歳馬は958頭。
10月末までに組まれている新馬戦は40競走(急遽新設した1競走を含む。以下同)
新馬は出走するまでの期間が長いとはいえ、これが釣り合ってる状況と考えるのは、なかなかの楽天家だ。
11月末まで広げれば75戦となり余裕が生まれるが、当然その間も新馬の入厩は進んでいく。

もうひとつ愉快な数字も出しておこう。
現3歳世代が3月までにJRAデビューしたのが4266頭(未勝利戦デビュー含む)
9月末段階で現2歳世代のデビュー数は1660頭、差し引きで残りの想定が2606頭。
来年の番組編成は未定だが、昨年並と想定して10月以降の新馬戦がだいたい160戦と仮定すると。
2606÷160=平均16.3頭という素敵な数字が出てくる。
もちろん需要は各路線均等な訳がなく、短距離はこの数字以上に馬が集まり延々と火の車状態が続いてく。
ついでに加えておけば、デビュー頭数が昨年並みに収まる保証は存在しない。
新馬が増えれば増えた分だけ溢れていくのである。

現在の状況は、年明け以降に生じる新馬戦の大混乱が薄く伸ばされたもので、普通の混乱が秋開催にまで波及し、2歳の秋から新馬戦終了までひたすら続く可能性を示している。

つまり、
スイーズドリームスに畑端が秋から期待できるのだ。
秋競馬の密かな楽しみである。

新馬戦が足りない≒未勝利戦が足りない

真面目な話に戻そう。

新馬の供給過剰は新馬戦だけの問題に留まらない。
先に挙げた通り、新馬の調教期間は既出走馬よりも長い。
入厩から出走体勢1ヶ月~2ヶ月は要するだけでなく、これに、レース不足による除外期間が加わることになる。
特に除外で滞留する新馬は馬房の稼働率を押し下げる事になり、トレセン全体の出走頭数、出走数の減少に繋がっていく。
今年の1月~2月に起きた状況が、まさにそれである。

この馬房の非効率化による出走数の減少が秋開催で発生する可能性がある。
新馬の除外問題に対して能検のような制度を導入するべきという声もあるが、ライン設定の難しさとともに馬房の非効率化が促進されてしまう問題も生じてしまう。
特定条件での非効率化は、他条件の在厩馬にレース選択の余裕をもたせる事となるが、程度を超えると頭数が減少してくことになる。

今秋に条件クラスで少頭数競走が多発したとしても、それが降級廃止による頭数分布の変化とだけ結びつけるのは早計だ。
新馬に押し出され、外厩で塩漬けされている馬が増えている可能性も考慮しなければならない。
在厩馬のレース選択に余裕は生まれるが、格差も同時に大きくなってしまう。

さらに大事な事がある。
「足りないなら新馬戦を増やせばいいではないか」という声もあるだろうが、これは非常に危険な考え方だ。
新馬戦の2着以下は未勝利に負け上がるのを忘れてはならない。
新馬戦の増設と未勝利戦の増設は基本的にセットなのだ。

スリーアウトで幾分解消されたとはいえ未勝利戦において5着以内の出走権による出走格差は依然として存在しており、短距離の深刻な状態は変わっていない。

1頭あたりの新馬未勝利の平均出走回数は4.5走ほど。
デビュー頭数が100頭増えれば、甘めに見積もっても400走分。平均15頭立てなら約27競走の増発が必要となる。
スリーアウトで緩和した出走需要が元通りを超えて悪化していく。
これを無視して新馬戦を偏重して増発すれば「短距離の未勝利戦は権利がなければ3ヶ月待ち」という状況を招きかねない。
というか現状でもそれに近い状況なのである。

そして、これらの問題を解消させられる余裕が条件戦にあるかといえば、そこまでの余裕は無い。
そういった状況を無視して「新馬を増やせ」という声が強まれば、他路線から転換されることになる。
このシリーズの最初に危惧した、長距離戦の削減であり障害競走の廃止である。
マスコミが「新馬の除外多すぎだから新馬を増やせ」と短絡的な意見を出すようであれば、その記者はクソ、というレッテルを貼る事になる。

「現状でも権利がないと未勝利はまともに使えないんだから、未勝利戦を削ってでも新馬戦ぐらいは予定通り使わせてくれ」という主張であれば筋は通るが、新馬増発を要求する人がそこまで考えているのだろうか。
新馬・未勝利の増発で問題を解消させようとすれば、他の条件戦で問題が生じる事となり、レース調整はもぐら叩き状態。
結局の所、競走馬と馬房の過剰、レース数の不足という需給問題の根本的な部分に帰ってくる。


コメント

  1. Charlie より:

    東京ダート1400の1勝クラスを削って新馬戦に変えるそうですが、目先の解決にしかならなそうですね

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます

      まさに目先だけですねぇ。
      まぁ、目先が大事な時もありますが、この件は目先だけ積もらせていくと後始末も要求されることになるのよね

  2. 名無し より:

    2000の新馬未勝利をなくして1800に変えるというのはどうなんですかね
    あの条件マイルが適距離に見えるという馬が出てこないからフルゲートなんてまれですし
    逆に2000走れる馬なんて1800走れるのも大半でしょうから

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます

      無くはないでしょうけど、正直気休め感は強いですなぁ。
      やらないよりは良いと思いますが、肝は1400m以下ですからねぇ。

  3. mizucchi41 より:

    常時3場開催できるように競馬法が改正されたらまだまともになったりするんですかね…?

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      常時3場開催なら、競走需給は改善できますね。
      根本を言えば至極単純な話で、競走馬と馬房に対してレースが足りないだけですから。
      3日間開催を2場開催の合間に挟むことで需要を吸収する苦肉の策も必要がなくなります。
      ただ、この前のエントリーで必要な競走数を書いていますが、全日3場開催だけでは需要は満たせないので「まだまともになる」という意見もその通りです。