降級廃止が招く混乱の可能性

降級廃止が招く混乱の可能性

この状態で降級を廃止するとどうなるのか。
フルゲート率を見た後なら当然の見解となるが、最も危惧されるのがダート路線における除外問題の深刻化だ。
最も悪化が懸念されるダート短距離1000万下路線に絞って少し掘り下げてみよう。
現状でも、この路線の除外問題は厳しい状態となっている。
執筆時の直近レースでは、2場開催でクラス再編成直後とはいえ6/3阪神10R洲本特別で13頭が除外となっているし、その前の週は1000万下ダ短距離が3レース組まれていたにもかかわらず、全て合わせて23頭が除外。さらに前週では、日吉特別のみだけで19頭が除外となっている。
月別のフルゲート率で見ても、殆どが満員御礼状態。
そんな状況の所に、降級するはずの馬が留まる事で在籍頭数が増えるのである。

相当ザックリとした調べ方だが、現4歳世代での数字を出しておこう。
500万下をダート1600m以下で勝ち上がってから500万下に降級したのが117頭。
1000万下をダート1600m以下で勝ち上がってから1000万下に降級したのが37頭。
差し引き80頭前後が来年以降1000万下に上積みされる訳である。
2017年の1000万下のダート1600m以下に出走していたのは629頭だから約13%の増加となる。
準オープンと違い優先出走制度があるため好走馬が除外されることはないが、混乱が生じることは避けられないだろう。

2006年のクラス制度改革で発生した準オープンの除外ラッシュでは、主に1000万下のレースを無理くり削って準オープンに充てがう策が取られたが、果たして今回も同様の策が取れるのかどうか。
すでに宣言済みであるOP競争の増発もしなければならない中で、どこまでレース編成の余裕を生み出せるかは未知数である。

では、クラス間のレース数調整だけで問題解決できなかった場合はどうすればいいのだろうか。


コメント

  1. いち競馬ファン より:

    興味深く読ませていただきました。
    私自身も現状に文句を言うだけの一部の評論家と同じことをしていたので目から鱗が落ちる感じでした。
    現状、専門誌などではこうゆう記事は私が見てる範囲では期待できないのでこれからもこうゆう記事があることを期待しています。

    • Luthier より:

      コメントありがとうございます。

      一応、このシリーズはあと2,3回続きます。
      自分としては、これらの問題を語る時には、何が原因で何が起きているのかをきちんと共有しなければならないのだろう、という認識です。
      この問題を解決するにはどこかを切り捨てなければならないんですが、問題を共有できぬままで強行した所でろくな事にはならないですから。
      開催日数の拡大を実現できる政治力のある人がポンと出てくる奇跡が起きれば話は別ですが。

  2. いち競馬ファン より:

    単純な開催日数の拡大ですと地方は反対するでしょうし、ダート馬の問題含め何をするにしてもやっぱり中央と地方が一括した組織になるほうがよりスムーズに問題は解決できそうですね。それが難しいから小手先だけで解決する方向にいってるんでしょうけど

  3. Luthier より:

    開催日数の拡大は地方よりも官僚と政治機構でしょうねぇ。
    海外馬券の発売でも売上に何かしら紐付けしようとしてましたし、あいつら使えねぇ。

    この問題は中央と地方が一体となって考えないといけないんですけど、なかなかその方向に行く気配がない。
    本来は一体となって競走馬のライフサイクルのモデル構築しないといけないんですけどね。